ミャンマーの人々の生活を支えるために
単身で、グローバルの最前線に

KDDIが関わるプロジェクトは時に日本を飛び出し、世界が舞台になることも。
それぞれの国でKDDIは、どのように貢献しているのでしょう?
そして、一見華やかに見えるグローバルビジネスの裏側にある困難とは?
中国とミャンマー、異なる国でのビジネスを経験した増田が、
それぞれの苦難とそこで得たかけがえのない経験について語ります。

増田 正彦

増田 正彦ソリューション東京支社
法人営業1部

※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。

関わられたプロジェクトについて
教えて下さい。

増田 増田

以前、私は通信モジュールの仕事に8年ほど関わっていました。その後異動のチャンスがあり、それまで経験のなかった「グローバル」という分野に挑戦しました。KDDIをもっとグローバルな会社にしたいという思いと、それに貢献するためには、まず自分がグローバルでビジネスを経験する必要があると感じたためです。私はいま53歳で、当時は48歳。現地の言葉はほとんど話せず「無謀だ」と言われましたが、海外行きが決まったときは嬉しかったですね。

最初のグローバルでの経験は、中国でした。まずは香港を拠点として巨大な中国の市場に売り込みに行くんだ、という野望を持っていましたが、思っていた以上に困難な仕事でした。中国のキャリアは働いている人も何万人といて企業としての規模も大きく、交渉も一筋縄ではいかない。そして、一番の弊害だったのは言葉と、仕事への取り組み方の違いでしたね。

その後、「ミャンマーに会社を設立するから行ってほしい」と打診され、ふたつ返事で行きました。ミャンマーには一度行ったことがあって、いい国で、怖くないなという印象があったんです。今もミャンマーは大好きですが、言葉の問題はその後も尾を引きました。疎外感や自分の能力が発揮できていないもどかしさには、ミャンマーに行ってからも悩まされました。

言語やビジネススタイルなどのギャップは、
どのように乗り越えられましたか?

増田 増田

まず中国では、中国語がまったく分からないので、通訳として同僚に同行してもらい、かつ伝えるべき自分の思いや目的を事前にしっかりミーティングしてから、打ち合わせなどに臨みました。次に行ったミャンマーでは、私も相手のミャンマー人も流暢な英語ではありませんでしたので、お互いに対等な言語のレベルで話し合うほうが、通訳がいる中国のときと比べて意思の疎通が図れましたね。

中国では基本的に案件のスケジュールが長く腰を据えた交渉が中心でしたが、ミャンマーの場合は一刻も早く会社を軌道に乗せるため、1日も無駄にできません。当時のスタッフは、現地のミャンマー人を含め3人だけ。会社を大きくするために自分たちですべての業務に当たる必要がありました。そのためにコミュニケーションを取ろうとお互い積極的に動きました。

また、言語が使えれば仕事もうまくいく、というわけではないと感じました。意図することや気持ちを伝える為に、言葉だけでなくボディーランゲージや図も良く使いました。そして、感謝したいときは抱き合って「君のおかげだ」ときちんと伝えて、何かを達成したときはみんなの前で褒めてあげる、常にそうした行動で示しました。最終的に信頼関係も構築でき、上司として尊敬してもらえて、私自身も部下が大好きになりましたね。不思議と、成功や失敗を語り合う時には言葉が無くても互いに通じ合えるものがあります。

特に印象的だったことはありますか?

増田 増田

一番の喜びは、目標達成したときですね。目標を達成して、頑張ってくれた社員に還元してあげるんだという目標があり、それが原動力となって最初の1年はほぼ休みなく働きました。時には日本との会議で厳しい指摘を受けプレッシャーを感じることもありましたが、何としてもやりぬくんだというほど決意は固かったです。目標達成は会社や自分のためでもありますが、とにかく社員のために必死でした。

ミャンマーは日々突拍子もないことが起きますし、思うように物事が進まないこともあります。でもミャンマーの方々は、みんなすごく人懐っこくて親切です。彼らが働くのは金のためじゃなく、自分や家族の幸せのため。信仰が生活の中に根付いていて、たとえ生活が苦しい方でも災害が起これば進んで寄付をする。そこには、我々日本人が忘れているようなことがあるんじゃないかと思います。そんな風にミャンマーの人々をすごく尊敬するようになり、この人たちと仕事をしたいし、ミャンマーの発展のため自分も役に立ちたいと思いました。今は、現地の社員も増え、ようやくある程度のところまでいけたかなと思います。

プロジェクトに取り組む際、
大事にしていることはなんでしょうか?

増田 増田

目標を達成するんだという強い思いと夢ですね。いま日本に帰ってきて新しい部署では、部下に「夢を持て」とメッセージを伝えています。自分たちの夢を思い描いて共有すると、一緒に目標を追いかけることができる。そしてお互いに仕事を理解し合い、協力しながら取り組める。それが「チーム」です。我々は一つの思いを持って助け合うワンチームだ、という結束力は、仕事をするうえで重要視しています。これは日本もミャンマーも変わらずやってきたことだと思いますし、私がいる部署もそうであってほしいなと思います。

「日本全国にモジュールを広げて、国民を豊かにしましょう」というのが、10年前に私が掲げた言葉です。いまはその仕事から離れてしまいましたけど、ようやく世の中としても社会を支える通信モジュールの仕組みが必要とされてきています。

ミャンマーの人々が、KDDIが支えるネットワークを使って、生活し、働き、そして彼らの生活を支えていく。これこそ私がミャンマーで取り組んだプロジェクトにおいて、かけがえのない成果ですね。

自分たちの夢を思い描いて共有すると、
一緒に目標を追いかけることができる。

「グローバル」プロジェクトにはその国の文化や言葉、あらゆる壁があるなかで、目標達成にかかせないのは「夢」というキーワードでした。例えどんなに過酷な状況にいても、仲間と手を取り合い「夢」へと一緒に向かっていく。それを達成した時に感じる言葉にできない思いこそが、言語や国境を超えてチームをより強く結びつけてくれるのです。次にまた新たな国でKDDIの技術を人々に伝えてくれるのは、あなたかもしれません。

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