“auならではの体験価値向上”に向けた
本気の挑戦

佐々木 裕子

佐々木 裕子コンシューマエクスペリエンス
推進部

※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。

auショップ店頭でのお客さま体験価値向上

各キャリアの同質化とMVNOの台頭が加速する2015年、
ブランドの差別化のためにお客さま体験価値(CX)向上をめざして発足された
「コンシューマエクスペリエンス推進部」において、お客さまとの最大のタッチポイントである
auショップでのお客さま体験価値向上に向けたプロジェクトが始まりました。
auの顔とも言えるauショップでの新たな試みはどんなものだったのでしょうか?

関わられたプロジェクトについて
教えて下さい。

佐々木 佐々木

ブランド全体のお客さま体験価値(CX)を向上させるために、まずはお客さまが実際にauと対面する場であるauショップの体験価値向上を行うということになりました。具体的には、ショップ来店前から退店後までのお客さまの一連の体験をカスタマージャーニーという形で書き起こし、どんなところにご不満(ペインポイント)があるのかを探り、改善に向けたアクションを実施するという内容です。しかし、新しいことを始める時には考え方も丁寧に伝えていく必要があるため、各支社に一つずつパイロット店を作り、全国13店舗から立ち上げることになりました。

私自身は元々営業をやっていたということもあり、主に社内の営業部門とそのパートナーである代理店さまに対して、CXという考え方を浸透させるための施策立案と推進を担当しました。

CXという新しい概念を伝えるという
お仕事ですが、
困難なハードルはありましたか?

佐々木 佐々木

代理店さまが「CXって何なの?」という疑問を持たれていることが大きなハードルでしたね。これまで" CS(お客さま満足度)"という概念はauショップのスタンダードとして認識されていました。しかし、お客さま体験価値を高めることが本当に利益に結びつくのかという疑問が根強かったです。

そこでまず、各代理店さまを担当する営業にCXを理解してもらうことから始めました。代理店さまにCXという考え方を伝えるのは彼らですので、営業が深くCXを理解しなくては伝わらないと思い、カスタマージャーニーの引き方のワークショップを二日間かけて行い、そこでの成果をベースにパイロット店の活動をスタートさせるというかたちを採りました。一方、現場だけの活動とならないよう、上層部への研修も実施しました。外部のコンサルタントのほうにご協力をいただきながら、CXが収益に結び付くことを他業界の事例を通じて理解して頂くようにしました。

しかし、CXへの取組みは手さぐり状態です。そこで現場には「CXを体現し浸透していくプロセスは一緒にベストな方法を見つけていきましょう」と伝え、一緒に取り組んでいくという意識で進める工夫も行いました。

ご自身の経験やスキルで
このプロジェクト遂行に役立ったものはありましたか?

佐々木 佐々木

私は長く営業に携わっていましたので、お客さま満足のために日々努力をされているauショップスタッフさまを大勢見てきました。ですので、スタッフさまがあってこそCXが実現するという思いで、現場に寄り添って推進するよう心がけました。ショップの閉店後の研修だったためスタッフさまは大変だったと思いますが、お客さまの体験を突き詰めて考えていくワークでの真剣かつ活発な議論に手応えを感じました。

今回のプロジェクトを実施しての
手応えはいかがですか?

佐々木 佐々木

これまでもお客さま満足を考えてやってきた代理店さまであっても、カスタマージャーニーという手法を入れたことで、お客さまとは視点が違っていたことに気付かれたとの声をいただきました。そしてauショップにおいては、新人スタッフほどお客さま目線に近いものを持っているのですが、新人だと「こうしたほうがいい」と言いづらいんですよね。しかし、このCX活動を進めていくことで「お客さま視点ではこうじゃないですか?」ということを付け加えると、新人でも意見を上げやすくなったとの声も聞こえてきています。そういった、お客さまについて考えてよくしていこうというお店全体の雰囲気の醸成ができてきたことは大きな手応えです。

しかし、その一方で、現場のスタッフさまたちからは、お客さまに喜んでいただきたくてこの仕事をしているはずなのに日々の忙しさで思うように活動ができない...というジレンマを感じたのも事実です。現場でのCX浸透を阻害する原因はKDDIのこれまでの施策にもあるのでは?と、このプロジェクトを通して見えてきたことを営業本部との共通認識にし、KDDI各部門においてCX視点での改善を始めています。そして現在はこのCX向上実施店舗を拡大し、全国500店舗で取り組んでいるところです。

CXを活用して
今後やりたいことなどありますか?

佐々木 佐々木

CXという考えは、お客さまの求めるものによって変化していくため、終わりのない、継続して取組むものだと思っています。明確な答えはないですが、それがまた「人対人」を感じさせてくれ、チャレンジし甲斐がある分野です。そしてこのCX向上を心がけることによって、全国2500店舗のauショップのスタッフの皆さまが、auショップで働くことに誇りを持ち、自信を持ってお客さまと接することができるようになればいいなと思っています。

村上 友子

村上 友子コンシューマエクスペリエンス
推進部

※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。

Xプロジェクト
au国際サービス改善

各キャリアが同質化し、お客さまは「商品」ではなく「売り手」を選ばれる時代となる中、
あらゆる接点での「auならではの体験価値向上」をめざし、
2015年に発足した「コンシューマエクスペリエンス推進部」。
同部署が推進する「カスタマー・ジャーニー」でお客さまの体験を可視化し、
ペインポイントを解消する「Xプロジェクト」の一環として実施されたのが、
au端末をそのまま海外でご利用いただける「au国際サービス」の改善です。
その実現には、部門をまたいだ活動と、お客さま視点とビジネス視点の両立が必要となりました。

関わられたプロジェクトについて
教えて下さい。

村上 村上

各キャリア同質化の時代においては、購入前から始まるあらゆるお客さま接点での体験価値向上が必要です。その実現には各部門の垣根を越えた改善活動が必須となるため、関連部門から関係者を招集し「Xプロジェクト」を立ち上げました。私が関わったプロジェクトチームでは、au国際サービスを利用されるお客さまの視点での「気持ち」や「行動」に焦点をあてた「カスタマージャーニー」を作成し、体験を可視化しました。

カスタマージャーニーを作成してみると、お客さまにとっては「そもそも知らない」「分かりにくい」「不安、こわい」という大きなペインポイント(課題)が3つもあることが分かりました。そこで私たちはサービス主管部門へペインポイント解消にむけた改善策を提案したのですが、"ペインポイントの事業インパクト"、"利用率向上のターゲットはどうするか"、"改善による収益はいかほどか"などの、定性だけでなく定量的なエビデンスを求められてしまいました。つまりそれは「カスタマージャーニーを作って、ペインポイントを見つけたのは分かるけど、本当にコレをお客さまが求めているの?」という主管部門の疑問であり、彼らが動くためにはビジネス的観点からのエビデンスも必要だったのです。

どのようにそういった苦難を
乗り越えることができたのでしょうか?

村上 村上

プライベートでの海外渡航時におけるスマホケータイ利用について、社内でWEBアンケートを実施しました。合計800以上の回答が集まり、私たちが挙げた三大ペインポイント「そもそも知らない」「分かりにくい」「不安、こわい」の確からしさが定量的に実証されました。

あらためて定量データのエビデンスを加えて提示し主管部門の理解を得て「第一にペインポイント解消によるお客さま満足度の向上、またその結果としてau国際サービス新規利用者のすそ野が広がり、継続しお使いいただけるお客さまが増えること」という双方が納得できるゴールを設定しました。その後はプロジェクトの主導を主管部門に移し、1年近く協同で活動することにより、無事に新しいサービスの提供、またWEBページやアプリの改善を実現することができました。

今回のプロジェクトにおいて
役立ったスキルやこれまでの経験はありましたか?

村上 村上

特別なスキルというよりも単にお客さま視点をおしつけることでなく、相手側の課題や目標を理解し、「ジブンゴト化」することが大切だったと思います。具体的には主管部門の苦労や壁をできるだけ理解したうえで一緒に活動するために、そのサービスをもっと知ることが必要と感じたので、システムに関する打ち合わせ等にも積極的に参加し、その中で私たちがお客さま視点からできることは何か、どこまでできるかを一緒に検討するように意識しました。

CXという考え方を活用して
今後やりたいことはありますか?

村上 村上

今回のau国際サービス改善では、サービス導入後も主管部門による改善活動を継続していただいています。具体的には普段お客さまに接することが少ない企画部門の社員たちが、自分たちがローンチしたサービスが本当にお客さまに伝わっているのかを知るために、お盆の成田空港にブースを設けてチラシやノベルティーを配ったり、ご利用設定のお手伝いをしたりとお客さまの声を直に伺い、さらなる改善活動に取り組んでくれています。今後は既存サービスの改善だけでなく新しいサービスを検討する初期段階のデザインプロセスの時点で、「お客さまの望む価値を提供できるような」サービスをデザインし、そのうえでUXやUIを考えるべきだと私は考えています。その実現のために頑張りたいと思っています。

サービスをデザインし、
そのうえでUXやUIを考えるべきだと
考えています。

お客さま視点とビジネス的視点の両立という大きな課題を、定性・定量の両面からの調査によるエビデンスと、部署間の協力で成し遂げたau 国際サービスの改善。その結果、サービスを改善するだけでなく、社内にCXへの意識の高まりが見られるようになりました。このプロジェクトの成功は、よりお客さま視点に基づいた、新しいサービスが次々と誕生していくきっかけとなりそうです。

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