2016年4月、電力自由化のタイミングに合わせてサービスを開始した「au でんき」。
使用した電気料金に応じてポイントが還元され、お得に使えるサービスです。
しかし、このサービスの開始までには、多くのハードルを越えなければなりませんでした。
どのようにしてプロジェクトを成功させたのか、その道のりを聞きました。
梶原 誠エネルギー ビジネス企画部
マネージャー
久蔵 健アジャイル開発センター
主任
岩見 大介アジャイル開発センター
マネージャー
※掲載されている情報は、撮影当時のものとなります。
会議があるからみんなが集まるのではなく、出社したらみんながいる感じです。KDDIの社員も業務委託として来ていただいている協力会社さまも、みんなで良いアプリを作ろうと同じ方向を向いて頑張れました。
従来の開発は、ベンダーさんに発注をして作ってもらい、それをテストして受け入れ、自社のサービスとして使うというスタイルが多かったのですが、このプロジェクトのチームでは、全てKDDIの中で開発して運用もしちゃいましょう、という感じですね。
入社後、本配属で今の部署に配属されました。学生の頃は、たくさんのお客さまに価値を届けるようなサービス開発をしたいと思っていました。一方で、自分自身がコードを書くことはできないのかなと思っていたんです。でも、実際は開発業務の中でコードを書くことができる部署に配属されたのはうれしい誤算でしたね。
久蔵さんもそうだし、このプロジェクトは若い人たちの伸びがすごく良い影響を与えるんです。社内外のスキルが高い方たちと日々一緒に働くことで、とにかく若手の日々の成長がすごい。半年ぐらい経つと、もう難しい機能の設計から開発ができるようになって、それが私たちにとっても活力になっています。また、非常に多くのお客さまが利用するアプリを作るので、若手社員は自信につながっているはずです。
技術的な知見や設計の経験値も上がりましたが、何よりも自信がついたと思います。参加当初は日々の業務をいかに効率よくこなすかに精一杯でしたが、徐々に登場人物の一人になれた気がしています。プロジェクトの中心メンバーの中にどんどん入っていけたことで、責任のある言動をしないといけないなと思うと、モチベーションにつながります。
久蔵さんは最初の頃に比べると、やれない理由や、やらない理由を探さなくなったよね。
「どうやったらやれるのか」という言い方に変わってきたというか。
久蔵さんの成長は本当にめまぐるしくて、見ていて楽しいです。私たちの世代の技術者ってコードが書けない人が多いんです。でも、若い世代の人たちはKDDIの外でも問題なく戦えるスキルを身に付けています。会社の競争力をどんどん上げていってくれる人たちは非常に頼もしいです。
通常のウォーターフォールの開発だったら、作るものがはっきり決まっている中で予算を申請します。しかし、アジャイル開発の場合、同じように予算は申請するけど、作るものを臨機応変に変えていく方式です。つまり、マネジメント層は部下を信用してお金を出すということです。もちろん、困っていたら相談にはのっていただけますが、責任を感じましたし、任せていただけたことが非常にうれしかったです。私たちが思う以上にプレッシャーや気苦労は上の方にあったように思います。開発側や運用側はどうでした?
それは私たちも同じで、マネジメント層から信頼していただいて裁量をもらえているし、その分責任もあります。だから、自律的にこのチームで動いて会社に貢献し、お客さまに幸せになっていただかないといけない。上から言われたから守られているのではなく、自分たちが回していかないといけません。特に若手はそのあたりのプレッシャーを背負い込むのを怖がる傾向があります。なので、アジャイルの世界で言う、プロダクトオーナー、スクラムマスターそしてチームというそれぞれのメンバーが役割を全うして、みんなで戦っていくぞという信頼感と安心感を現場に与えるのが一番大事だと思っています。
マネジメント層から我々に対する任され方が、今度は久蔵さんに影響を与えます。私たちの上が私たちに任せてくれたよう、次は私たちがもっと若手に任せようというマインドが引き継がれていくことにより、良い波及効果が生まれていると感じています。
コミュニケーションの大切さに尽きます。
それが全てを決めてしまうくらい重要だと気づけたのは、自分の会社員人生の中でも財産だと痛感しています。
梶原さんが企画したものや私が自分の手で生み出したいものをアプリで表現できるようになったのが、一番伸びたスキルだと思います。
私も梶原さんと同じくコミュニケーションの重要性というのは同じなのですが、自分が頑張るのではなく、チームで頑張るということ、信頼し合うことというのをプロジェクトの成功体験を通して実感しました。
部門を超え、プロジェクトに関わるメンバー全員が一丸となって取り組んだ「auでんきアプリ」。改めて、チームの結束力や信頼感の大切さが身にしみたようです。若手もベテランも、それぞれ得るものが大きいプロジェクトだったことが浮き彫りになりました。常に新たな切り口の企画をトライしている彼ら。今回得たスキルを糧に、今後も挑戦は続きます。
以前は岩見さんも久蔵さんも私も、別々のビルや別のフロアで働いていたので、メールや電話でのやり取りが多かったんです。だから、コミュニケーションが円滑に進まないことが多々ありました。
そこで、大きなプロジェクトルームを作り、企画と開発と運用、全員が一か所に集まってプロジェクトを実行しました。毎日顔を合わせてコミュニケーションを取るようにしたのが、成功した大きなポイントだったと思います。